【本気で考える】日本のコメ自給率はどこまで守れるのか?-食卓の“当たり前”が危ない

お茶碗によそった白いご飯。私たち日本人にとって、あまりに当たり前の風景。けれど今、その「当たり前」が揺らぎつつあるのをご存じでしょうか?

 

物価高の影響でお米の価格が高騰し、「令和の米騒動」とまで言われる事態に発展した2024〜2025年。
この混乱の裏には、日本のコメ自給率の低下と構造的な農業の弱体化という深刻な問題が横たわっています。

 

今回は、「日本のコメ自給率はどこまで守れるのか?」という視点から、私たちの食と安全保障の未来を一緒に考えてみたいと思います。

 

◆ そもそも「自給率」とは?
「自給率」とは、国内で消費する食料を、どれだけ国内で生産してまかなっているかを示す数字です。

 

農林水産省によると、

 

日本の食料自給率(カロリーベース):2022年度は38%

 

コメの自給率:ほぼ100%(主食用)

 

つまり、食全体では6割以上を海外に依存している中でも、「お米」だけは唯一、ほとんどを国産でまかなえている数少ない作物なのです。

 

しかし──この「100%」も実は盤石ではありません。

 

◆ コメの“守られてきた自給率”が崩れ始めている
かつては政府の主導で「減反政策」(米の作付けを制限して価格と需給を調整する制度)が行われていましたが、2018年に廃止。
市場原理に任せた結果、農家の判断で生産量が変動しやすくなりました。

 

その後、以下のような問題が一気に表面化しています。

 

🌾 米農家の高齢化・後継者不足
 → 60歳以上が7割以上。農地の維持が困難に。

 

💸 肥料・燃料価格の高騰
 → 生産コストが合わず廃業する農家が増加。

 

🏭 食の多様化で米の消費量が減少
 → 昭和40年代と比べて、1人あたりの年間消費量は半分以下。

 

🏙️ 都市への人口集中・農村の過疎化

 

こうした要因が重なり、「国産米が余る → 作らない → 生産力が減る」という悪循環に。

 

そして2024〜2025年、不作や需給の調整失敗が重なったことで価格が高騰し、米騒動のような状況に陥ったのです。

 

◆ もし自給率が下がったら、何が起こる?
仮に米の自給率が80%、60%と下がった場合、以下のような問題が予想されます:

 

1.食料価格の変動が激化:輸入に頼るほど、為替や国際情勢に左右されやすくなります

 

2.備蓄制度が機能しなくなる:国内生産力がなければ、非常時の放出も難しい

 

3.農地・水田の荒廃が進む:農業インフラそのものが失われていく

 

4.日本の食文化の継承が困難に:「和食」は素材があってこそ成り立ちます

 

つまり、自給率の低下=国としての食料安全保障の喪失なのです。

 

◆ 自給率を守るための現実的な対策とは?
では、どうすれば日本のコメ自給率を維持・向上させられるのでしょうか。以下が主な方策です。

 

✅ 1. 生産者の支援強化
・肥料や燃料の高騰に対する補助金の拡充
・若手・法人農家への優遇政策(税制・機械導入)

 

✅ 2. 消費の回復と多用途利用
・学校給食・外食産業での米使用の拡大
・パンや麺に代わる「米粉」の活用促進

 

✅ 3. 流通と価格政策の見直し
・備蓄米の放出ルールを柔軟に
・地域主導型の米の需給調整モデルを導入

 

✅ 4. 国民の意識改革
・「毎日一膳のご飯を大事にする」食育の推進
・輸入に依存せず、国産を選ぶという選択を支持する世論形成

 

◆ まとめ:「米がある日常」を守るのは今しかない
お米は単なる主食ではありません。それは、私たちの文化であり、暮らしであり、国の根幹です。

 

一度失われた自給率を戻すのは非常に困難です。だからこそ、守れる今こそ、次の世代のために対策を講じるべき時なのです。

 

「これからも当たり前にご飯が食べられる未来を」。そのために、国も私たちも、行動を始める必要があります。

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